The Auditorium in the Old Burgtheater, Vienna(旧ブルク劇場の観客席)
1888年
写実主義
舞台上から見渡す、熱気あふれる観客席。
そこには、ウィーン社会を牽引する政治家や女優、貴族など100名を超える名士たちの姿が、まるで写真のように精緻に描き出されている。
でも実は、このきらびやかな絵が描かれた時、この歴史ある劇場は取り壊しの運命にあった。
モーツァルトの『フィガロの結婚』が初演されたことでも知られる旧ブルク劇場が、宮殿の拡張工事のために姿を消すことになり、ウィーン市が若きクリムトらにその姿を記録として残すよう依頼したのだ。
クリムトは、1888年10月に行われた最後の興行の様子を、役者と同じ舞台からの視点という斬新な構図で切り取った。
描かれた人物たちは互いに視線を交わすことなく、どこかコラージュのように人工的に配置されているが、その正確で緻密な観察力はウィーンの人々を熱狂させた。この作品を見るために約6万人もの人々が展覧会に詰めかけ、彼は皇帝賞を受賞することになる。
失われゆく劇場と、世紀末ウィーンの華やかな上流社会の姿を永遠に閉じ込めたこの絵画。
それは、後に前衛的な独自のスタイルへと向かうクリムトが、確かな写実描写によって確固たる地位を築き、画家としての栄光の階段を駆け上がるきっかけとなった記念碑的な一枚である。
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19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したウィーンを代表する象徴主義の画家であり、新しい芸術を模索する「ウィーン分離派」の創設メンバーおよび初代会長。





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