Neapolitan woman(ナポリの女)

1894年

写実主義

白いドレスを身にまとい、頬杖をついて静かに視線を向ける女性。 細部まで丁寧に描写された、詩的で穏やかな雰囲気が漂う肖像画です。

でも実は、彼女は画家がアトリエに呼んだただのモデルではありません。 地中海方面を旅していた画家イリヤ・レーピンに、現地の言葉であるイタリア語を教えていたナポリの女性なのです。

レーピンといえば、過酷な労働を強いられる船引きたちや社会の矛盾など、ロシアの重々しい現実を鋭い写実性で描き出し、「ロシアの魂」を表現したことで知られる巨匠です。 常に社会の深部や歴史の重圧と向き合ってきた彼ですが、この絵では驚くほど柔らかく、個人的な親密さをもって目の前の女性を見つめています。

言葉を教わりながら共に過ごした、何気なくも温かい交流の時間。 重厚な大作で人々の苦悩を描き続けた彼の心をふと癒したのは、南イタリアの日常を生きる彼女の飾らない姿と、その奥に宿る豊かな感情だったのかもしれません。

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19世紀後半のロシア写実主義を牽引した画家であり、「移動派」を代表する中心的な人物。

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