『絶望の街に降り注いだ、世界で一番美しい嘘』ヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」

ロマン派

『絶望の街に降り注いだ、世界で一番美しい嘘』ヨハン・シュトラウス2世「美しく青きドナウ」

ヨハン・シュトラウス2世

2026.5.9

美しく青きドナウ 1867年作曲

『濁った川が、世界で一番青く輝いた日』「ドナウ川が青いのは、シュトラウスのワルツの中だけだ」ウィーンの人々は、自嘲気味にそう言います。実際のドナウ川は、決して美しく透き通った青ではありません。土砂を運び、茶色く濁った、逞しくも無骨な大河です。ではなぜ、世界中の人々がこの曲を聴くとき、目の前に「輝くような青」を感じるのでしょうか。そこには、音楽でしか救えなかった国の記憶がありました。笑顔を忘れた、音楽の都1866年。オーストリアはプロイセンとの戦争に、わずか7週間という短期間で完敗しました。大国としてのプライドは引き裂かれ、ウィーンの街からは音楽が消え、活気は失われました。人々は明日を信じられず、ただうつむいて歩いていました。そんな翌年、一人の作曲家に依頼が舞い込みます。ヨハン・シュトラウス2世。「傷ついた国民を、もう一度立ち上がらせるような曲を書いてほしい」「踊るしかない」という抗議シュトラウスが書いたのは、あえて時代に逆行する

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