Ophelia(オフィーリア)
1883年
シェイクスピア
悲哀を象徴するしだれ柳のもと、水面に向けて滑り落ちていくうら若き乙女。
水面に浮かぶ金色の装飾が施された絹のドレスや、花冠から散りばめられた花々が、残酷なまでに美しい。
彼女はシェイクスピアの悲劇『ハムレット』のヒロイン、オフィーリア。
最愛の父を亡くした深い悲しみから狂気に陥り、命を落とすこととなるあまりにも有名な場面である。
ジョン・エヴァレット・ミレイなど、当時の多くの画家たちはすでに水の中に身を沈めている彼女の静かな姿を描いてきた。
しかし、カバネルがあえてカンヴァスに描き出したのは、「彼女の体を支えていた枝が不意に折れたまさにその瞬間」だった。
宙を舞うような大げさで劇的なポーズと、大きく差し出された左腕。
死が迫る緊迫した場面にもかかわらず、その表情には恐怖ではなく、どこか物憂げで妖艶なまでの魅力が漂っている。
生と死の境界線を浮遊するような絶望的な一瞬すらも、カバネルは圧倒的な官能と劇的な美のなかに永遠に閉じ込めている。
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19世紀フランス美術界の頂点に立った、アカデミック絵画を代表する巨匠。




