Miranda(ミランダ)

1875年

感情後期ラファエル前派

貝殻の散らばる海辺で岩に腰掛け、水平線の彼方に浮かぶ小さな船をじっと見つめる15歳の少女。

シェイクスピアの戯曲『テンペスト(嵐)』のヒロイン、ミランダを描いた若き日の作品だ。

でも実は、他の多くの画家たちが「魔法の嵐によって船が引き裂かれる劇的な悲劇」を競って描く中、26歳のウォーターハウスが選んだのは、嵐がやってくる前の「静寂」だった。

17世紀の物語の登場人物であるにもかかわらず、彼女がまとっているのは古代ギリシャを思わせるような白い衣服。

それは物語の劇的な挿絵としてではなく、初期の彼が深く傾倒していた古典主義的なアプローチであり、物思いにふける女性の純粋な美しさそのものを描き出そうとした結果だった。

嵐を前に悲鳴を上げるわけでもなく、ただ静かに運命の船を見つめるミランダ。

そこには、のちに彼が生涯をかけて描き続けることになる「水」「女性」そして「魔法」という3つの重要なテーマの、静かな、しかし確かな幕開けが刻まれている。

嵐の前の静けさをそのままキャンバスに閉じ込めたかのようなこの絵は、1875年の発表直後からなんと130年以上もの間行方不明となり、2004年にスコットランドで奇跡的な再発見を遂げるまで、幻の作品として静かに眠り続けていた。

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ラファエル前派の精神を色濃く受け継いだイギリスの画家。イギリス人の画家の両親のもとローマで生まれ、ロンドンの王立芸術院(ロイヤル・アカデミー)で学んだのち、自身…

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