The Fountain, Villa Torlonia, Frascati, Italy(ヴィラ・トルロニアの噴水、フラスカティ、イタリア)
1907年
陽光が降り注ぐイタリアの庭園。水しぶきを上げる壮大な噴水の前で、白いブラウス姿でカンバスに向かい真剣な表情を見せる女性と、その傍らでシャツ姿のまま気だるげにくつろぐ夫。
ヨーロッパを旅する芸術家夫婦の、優雅で軽やかなバカンスの一コマを切り取ったかのような、光と色彩にあふれる美しい風景。
でも実は、この「一瞬のきらめき」を描き出す背後には、モデルとなった友人たちの知られざる苦労と忍耐が隠されていた。
当時、大人気の社交界肖像画家としてのキャリアから距離を置き、戸外での風景画(プレネール)制作に新たな自由を見出していたサージェント。
彼は同行していた友人画家であるデ・グレーン夫婦をモデルに選んだが、制作は度重なる雨に邪魔され、長時間のポーズを要する数日がかりの過酷なものとなった。
さらに、夫の気怠げなポーズは「ヒモ男(ジゴロ)みたいでいいから、そのまま動くな」というサージェントの突然の思いつきによるもの。
背中に食い込む冷たい石のバルコニーの痛みに耐えながら、彼は拷問のような時間を強いられていたのだ。
一方の妻の険しい表情も、夫から「お裁縫のほうが上手いんじゃないか?」と冷やかされながら、必死に絵と格闘していたリアルな姿である。
悪天候への苛立ちや、背中の痛み、友人同士の皮肉まじりのやり取りの中で描かれたこの作品には、そんな舞台裏の苦労は微塵も感じられない。
厚塗りの絵の具で鮮やかに捉えられた水と光の戯れは、ただひたすらに美しく、気心知れた仲間たちと芸術を分かち合う至福の時間を、永遠の輝きとしてキャンバスに閉じ込めている。
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アメリカ人の両親のもとイタリアで生を受け、パリで若年期を過ごしたのちロンドンを拠点に活躍した画家。

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