Play of the Nereides(戯れる人魚たち)

1886年

神話象徴主義

荒れ狂う波が打ち付ける暗い岩場で、水飛沫を浴びながら宙返りをしたり、大声で笑い合ったりして無邪気にはしゃぎ回る海の精霊(ネレイデス)たち。

波にもてあそばれる赤子や、それを傍らで見つめる老いた海神トリトンの姿も描かれた、大自然の暴力的なまでのエネルギーと生命力にあふれた情景。

でも実は、この絵が発表された当時、世間の批評家たちからは戸惑いと反発をもって迎えられた。

19世紀において、神話を題材にした絵画といえば、理想化された美しく優雅な裸婦を描くのが常識だった。

しかしベックリンが描いたのは、がっしりとした体格でどんちゃん騒ぎをする、どこか海の「生臭さ」すら漂ってくるような生々しい精霊たちだった。

当時の人々にとって、崇高であるべき神話のモチーフをここまで滑稽に、そしてグロテスクに描くことは、あまりにも常識外れで不気味に映ったのだ。

多くの人々は彼の代表作である『死の島』のようなメランコリックで静寂な作品をもてはやし、この騒々しくコミカルな海の情景から目を背けようとした。

しかし彼が本当に描きたかったのは、綺麗に飾られたおとぎ話ではなく、容赦のない自然の脅威と、そこに息づく荒々しくもたくましい生命の真の姿だった。

神話のヴェールを剥ぎ取られた生々しい彼女たちの笑い声は、単なる美しさという枠に収まりきらない「自然のありのままの力強さ」を、今も私たちに強烈に突きつけている。

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19世紀後半を代表する、スイス出身の象徴主義および世紀末芸術の画家。

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