Head of an Indian beauty(インドの美女の頭部)
1875年
神話
異国情緒あふれる、美しく魅惑的な女性の顔を描いた油彩画。
丁寧なタッチで描かれたこの作品は、単なる美しい肖像画に見えるかもしれない。でも実は、彼女はロシアの伝承を元にした大作『水の下の王国のサトコ』を描くために作られた、習作(エスキース)の一つである。
物語の中で、海底の王国に迷い込んだ主人公の商人サトコは、王の命令で数百人もの多国籍で魅力的な人魚の姫たちの中から、一人を花嫁として選ぶよう迫られる。
しかしこの絵が描かれた1870年代半ば、若き日の画家レーピンはパリ留学の真っ只中にいた。
華麗なヨーロッパの芸術や最先端の異文化に囲まれながらも、彼は強烈な望郷の念に駆られ、異国での孤独に苦しんでいたのだ。
だからこそ、彼は主人公のサトコに、目の前を通り過ぎる絶世の美女たち、
この「インドの美女」をはじめとする異国の魅力をすべて拒絶させ、最後尾にいた質素なロシアの村娘を選ばせた。
魅惑的なまでに美しく描かれたこのインドの女性は、レーピンが華やかなパリで直面した「誘惑」の象徴だったのかもしれない。彼女の圧倒的な美しさは、輝かしい異国に背を向けてでも自身のルーツである「ロシアの魂」を選び取った、画家の強い祖国愛を逆説的に物語っている。
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19世紀後半のロシア写実主義を牽引した画家であり、「移動派」を代表する中心的な人物。

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