Music making in the house, a quartet in a baroque ambiance(室内での合奏、バロック空間での四重奏)


重厚な木彫りや金箔の装飾が施された、バロック様式の室内空間。

18世紀の華やかなロココ衣装に身を包んだ4人の音楽家たちが、親密な弦楽四重奏を奏でている。

ウィーンの壮麗な邸宅で繰り広げられる、洗練された「ハウスムジーク(家庭音楽)」の優雅な日常風景。

でも実は、この絵が描かれた19世紀後半のハプスブルク帝国は、急速な工業化と社会構造の激変の真っただ中にあった。

近代化の波や工業都市の喧騒に直面した当時の新興ブルジョワジーたちは、そんな現実の息苦しさから逃れるように、過ぎ去った「古き良き時代」の居心地の良さに強く憧れを抱いていた。

画家ヨハン・ハムザは、彼らのその切実な願いと文化的な渇望に応えるように、あえて1世紀前の貴族の装いと調和に満ちた空間を、小さな画面に極めて緻密に描き出したのだ。

彼が精巧に描き出した過去の音楽会の風景は、単なる懐古趣味ではなく、現実社会の重圧や近代化の泥臭さから人々を遠ざけるための理想郷(アルカディア)であった。

絵の向こう側から静かに響き渡る四重奏の調べは、激動の時代を生きる人々の心を優しく包み込む、精神的な「避難所」だったのかもしれない。

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オーストリア

ヨハン・ハムザJohann Hamza

1850 – 1927

19世紀後半のウィーンを中心に活躍した風俗画家。モラヴィア(現在のチェコ)に生まれ、ウィーン美術アカデミーでエドゥアルト・フォン・エンゲルトに師事し、1880年…

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