The End of the Song(歌の終わり)

1902年


宮殿のテラスで、若き吟遊詩人がハープを奏で終えたばかりの甘美な時間。 美しい王女は刺繍の手を休め、彼の情熱的なささやきに静かに耳を傾けている。

柱に絡みつくスイカズラの花言葉は「愛の絆」。 二人は自分たちだけの世界に浸りきり、背後の階段から近づく王(彼女の父親)の存在にすら気づいていない。 髭を撫でながら、若い二人をどこか穏やかに見守る王の姿。

しかし実は、この絵が最初に完成した時、王の姿は全く異なっていた。

オリジナルのキャンバスに描かれていたのは、怒りに満ちた表情で、今にも剣を抜こうとしている王の姿だったのだ。 一介の音楽家と王女という身分違いの恋。この絵は本来、許されざる愛が引き起こす「悲劇の予感」と「残酷な身分制度」を描いたサスペンスに満ちた作品だったのである。

だが、絵画の購入者がそのあまりに不穏で痛ましい結末を嫌ったためか、のちに画家自身の手によって王の姿は描き直されることとなる。 剣にかけられていた手は顎の髭へと移され、殺意は静かな思案へと姿を変えた。

振り下ろされるはずだった剣が消えたことで、二人の時間は永遠の平穏を手に入れた。 一度は悲劇に向かっていた恋人たちに、画家がキャンバスの上でだけそっと授けた、ロマンティックな魔法の瞬間である。

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ヴィクトリア朝末期からエドワード朝にかけて活躍したイギリスの画家。

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