The Reluctant Bride(不本意な花嫁 / 理性的結婚)

1866年


豪奢な室内の中央で、純白のシルクドレスとファーに身を包んで座る一人の女性。
両脇には色鮮やかなドレスを着た友人たちが寄り添い、優しく額にキスをし、手を取って彼女をなだめようとしている。
背後では無邪気な少女が、将来へのロマンチックな憧れを抱くように、鏡の前で花嫁の花冠を試着している。

誰もが祝福するはずの華やかな結婚式の直前。しかし実は、花嫁の視線だけが、圧倒的な怒りと反抗心を宿してまっすぐにこちらを睨みつけている。

19世紀のフランスにおいて、上流階級の結婚とは個人の愛によって決まるものではなく、家柄や社会的地位を強固にするための「政略結婚(理性的結婚)」であった。
画家であるオーギュスト・トゥルムーシュは本来、豪華な部屋に佇む裕福で従順な女性たちを好んで描き、当時の作家エミール・ゾラからは「トゥルムーシュの美味しいお人形」と揶揄されるほど、伝統的で保守的な作風の流行画家だった。

しかし、この異色の作品で彼はいつものスタイルを覆し、男性社会から「見られる」だけの受動的な存在であることを強烈に拒否する、血の通った女性の姿を描き出した。

美しい装飾という名の檻に閉じ込められながらも、決して運命に迎合しないという静かで激しい怒り。 150年以上前に描かれたその毅然とした瞳は、現代を生きる私たちの心をも射抜き、近年ではSNSを通じて「抑圧に対する女性の怒り」を代弁するミームとして、時を超えた鮮烈な共感を呼んでいる。

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19世紀フランスのアカデミック・リアリズムを代表する風俗画家。豪華な室内に佇む、美しく着飾った上流階級の女性たちを好んで描いた。

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