Byzantine Heads - Blonde(ビザンティン風の頭部:ブロンド)
1897年
円形のフレームにおさめられた、美しく気品のある金髪の女性の横顔。 真珠や宝石がちりばめられた冠と白いスカーフを身につけ、背後には古代ビザンティンのイコンを彷彿とさせる、後光のようなアラベスク模様が広がっている。
女性の全身像に植物を絡ませるような彼のおなじみの構図とは異なり、本作ではあえて頭部と肩のみにフォーカスして切り取られている。 視線が頭部に集中するため、額を覆うエキゾチックな装飾の緻密さや、円形の境界を越えて流れるように波打つ髪の美しさがより一層際立っている。
だが実は、この「ブロンド」と対になる「ブルネット」の二作は、単なる美しい版画にとどまらず、ミュシャの芸術家としてのキャリアを大きく広げる重要なターニングポイントとなった。
この絵の中で描かれた独創的で目を引く宝飾品のデザインに、すっかり魅了された人物がいた。当時のパリを代表する名門宝飾店の三代目、ジョルジュ・フーケである。 本作の装飾表現を高く評価したフーケは、1900年に開催されるパリ万国博覧会に向けた自身の特別なジュエリー・コレクションの制作において、ミュシャに協力を依頼することになるのだ。
ポスターの中に描かれた二次元の空想の装飾が、やがて現実の立体的なハイジュエリーの世界へと昇華していく。 ゴールドやパウダーブルーの色彩をまとったこの神秘的な一枚は、グラフィックの枠を越えて、ミュシャが新たな芸術の扉を開くきっかけとなった運命的な作品だったと言える。
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チェコの南モラヴィア地方出身で、アール・ヌーヴォー様式を代表する世界的芸術家。













